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1. introduction

1.はじめに

 電磁気学とは
 電磁気学(electromagnetics)とは電気と磁気の性質、およびその相互の関係を明らかにしようとする物理の一分野である。電磁気学では電界、磁界など、場と言われる概念を用いて電気、磁気現象を説明する。いいかえれば、電界、磁界の性質を取り扱う学問である。
 電磁気学は電気工学、電子工学のいちばん基礎となる学問である。あらゆる電気・電子機器は電磁気の法則に従って動作している。特に、電波などの高周波の電気磁気現象を扱うときには電磁気の知識無しには理解は得られない。
 電磁気学を学べば、たとえば、次のような疑問に答えることができる。「モーターはなぜまわるのか。」「自転車の発電機を回すとなぜ電球が光るのか。」「電波とはどんなものか。」「なぜアンテナから電波が飛び出すのか」
 電磁気学を学ぶ目的は、電気や磁気の性質をその本質から理解することである。いいかえれば、電気・電子工学やその応用機器の本質を理解するということである。電気・電子工学やそれらを応用した機器を理解しようとしたとき、電磁気学のレベルで理解すれば、その本質をわかったと考えて良いだろう。

 電磁気学の概要
 最初に、電磁気学のアウトラインをおおざっぱに学んでおこう。電磁気学の概要をその研究の歴史に沿って説明していく。ここに出てくる人たちの多くは電気や磁気の単位に名前を残し、現在の人々にも知られている。
 古くは紀元前600年頃、ギリシャ人は琥珀(エレクトロン)と毛皮をこすりあわせると、静電気が生じて引き合うことや、マグネシアという所で産出される石が鉄を引きつけることを知っていた。これが英語の電気(electolicity)、磁気(magnet)の語源になっている。
 近代的な電気や磁気の研究は1600年にギルバートがそれまで魔術や占いの手段であった電気や磁気の現象をまとめたことに始まる。また、ギルバートは北極に近づくと磁石が地面を指し示す現象から、地球がひとつの大きな磁石であることも示した。フランクリンの有名なたこの実験もこの頃である。
 力学がニュートンによって完成されると、重力と同じように電気や磁気の力の大きさを測ってみようとする試みがなされた。18世紀になってクーロンが精密なはかりを発明し、電気や磁気の力の大きさを測れるまでに技術が進んだ。そして重力と同様に力の大きさは電気や磁気の量に比例し、距離の2乗に反比例することがわかった。
 その後しばらくは、静電気についての研究が続く。電気、磁気に関する研究を進展させる次のきっかけはボルタによる電池の発明である。1800年頃ボルタが電池を発明し、定常電流を得ることができるようになる。
 電流は、水の電気分解や、電気と磁気には相互に関係があることなど重要な発見を促した。電流が磁石に力をおよぼすことを発見したのはエルステッドである。その結果、電気と磁気は別々のものではなく、互いに関係があることがわかった。アンペールはその発見を知るとすぐに自ら実験をおこない、電流どうしが力をおよぼしあうことなどを発見し、その関係をまとめた。アンペールの法則と呼ばれ電磁気学の基本法則のひとつである。
 ファラデーは、電流が磁石に力をおよぼすだけでなく、逆に磁気が電気に影響を及ぼすのではないかと考え、電磁誘導を発見した。電磁誘導とは磁界を変化させることによって、導線の輪に電圧が生じる現象である。また、ファラデーは電気や磁気はまわりに場を作ってその力をまわりにおよぼすと考えた。現在では電気や磁気の作用を論じるとき、電荷や電流はそのまわりに場を作るという考え方をする。場は近くや遠くに力をおよぼす。この場の考え方は電磁気学で最も重要な概念である。  マックスウェルはファラデーの場の考えを受け継ぎ、電気磁気の現象を現在マックスウェル方程式と呼ばれている4つの法則にまとめた。さらに、数学的に電気磁気の現象が波動を生じさせることを示し、電磁波と名付けた。また、その波動の進む速さの計算値が光の速さの測定値と一致することから、光は電磁波の一種であると考えた。
 電磁波の存在はヘルツによって実験的に確認され、ファラデーやマックスウェルの理論の正しさが認められるようになった。ゆえに、電磁気学はマックスウェルによって完成されたと言われる。
 それまで、電磁気の研究をしていた人々は学問的興味で研究を行っていて、応用には関心がなかったようである。このころになると、電気・磁気を応用する動きが出始める。発電機やモーターが使われ初め、無線通信も発明された。電磁気の応用にはマルコーニやエジソンが活躍する。
 19世紀の末から、物理は大きな変化の時期を迎え、それ以前の物理は古典物理、以降は近代物理と呼ばれている。電磁波の媒質に関する検討からアインシュタインは相対性理論を発表した。また、物質が高温になって電磁波や光を発することの研究から、量子力学といわれる原子の世界を明らかにする物理へと発展していく。



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